おっと。ひとつ大切なことを言い忘れたーーー

部室へ引き返してドアに手をかけようとした時、中から加瀬のデカイ声が響いてきた。

「オレもしてえ! 一泊!!」

一泊?? なんのハナシ??
しばしドアの外で聞き耳をたてる。
そしたらそれが何の話なのか、一瞬でわかってしまった。
羽田に寺松、加瀬の企み。
コイツら、ロボコンにかこつけて彼女と一泊しようとしてやがる!

まあね。
年頃のコイツらが考えそうなことだ。

それにしても。
余計なこと聞いちゃったなあ。どうしようーーーと、廊下に立ち尽くして考えを巡らせる『教師』であるオレ。
ホントは今すぐこのドアを開けて、生徒指導してやんなきゃならないんだろうけど。

面倒事がキライなオレは何も聞かなかったことにしてそーっとその場を離れることにした。
アイツらの気持ちもわかるしな、なんて自分に言い訳しながら。