で、気がついたらジュースをひっくり返していたのだ。ばっさりと。

ああ、スッキリした。
すんごい気持ちいい。

カップ丸々全部のオレンジジュースをブチまける爽快感といったら、チョット言葉にならない程だった。
いけないことだって、ちゃんとわかってんだけど。

加瀬くんのマヌケな顔に笑いがこみあげてくる。
「あースカッとした。じゃあね、加瀬くん。今度こそバイバイ」
加瀬くんに一言声をかけてから、私はその場を立ち去った。

サヨナラ、加瀬くん。
彼女と一緒にこのピンチを切り抜けられたら、その恋、実るかもしれないね。

「さ、行こ。おまたせ」
ドン引きの弟を連れて映画館を後にした。

たぶん。

これでもうホントに吹っ切れる。きっと忘れられる。
私の長い片想いはようやくこの日、完全に幕を下ろしたのだった。