南坂川駅の改札をくぐると、尚と翔太がホームの定位置でオレを待ち構えていた。

「なあ、映画どうだった?」
「小宮山に告った??」
期待で目をキラキラさせた男ふたりがオレをみつめる。
「好きって言うつもりだったけど、ダメだった」

「なにそれ、どーゆうこと??」
「小宮山に止められたんだよ。言わないでって」
「・・・」
「んで友達でいてくれって言われた」

「ふ、ふーん」
「そっかあ・・」

ふたりの表情から一瞬でキラキラが消えた。ヤツらの顔には、もうオレへの同情と痛々しさしかない。

「まあでもこれで諦めがつくじゃん? よかったじゃねーか」
「ヨシ、じゃあ今日学校終わったらどっか遊び行く!?」
カラオケ行こうぜ!って盛り上がるふたりに水をさすようで悪いけど、
「オレ、パス。今日は小宮山と帰りたい」
って言ったら、ふたりが同時に首を捻った。