「姉ちゃん、何してんの? 早くおりよーぜ」
実はここへは映画を観に来たわけじゃない。ポップコーンを買いに来ただけ。
駅前の地下駐車場でママが待ってる。

「チョットまって!! あんたはそのへんにいて!」

弟を追い払ってから、私はそーっとふたりに近づいて耳をすませた。そしたら・・

『映画なんかなんだっていんだよ。オレは小宮山とでかけたかっただけ』
『デートって思ってもいいよね? オレはそのつもりだった』

奥手な超絶シャイボーイであるハズの彼の口から耳を疑うような甘いセリフが次々と飛び出す。

ーーー嘘、やだ。加瀬くんって、こーゆうこと言えちゃう人だったの!?

言いようのない衝撃に固まる私。
んでも、今のでわかっちゃった。
この子、まだ彼女じゃない。加瀬くんの片想いだ・・!