「あのねえ、君みたいな優秀な男がレベルの低い女と結婚したってうまくいかないよ?」
例えばコレがそう、って父が母を顎でしゃくる。
「上司の紹介を断れなくてね。だけど結婚してみてすぐわかったよ。まあ見事にハズレ」
半笑いの父が母に向ける視線ときたら、これまた殴ってやりたくなるような厭らしさ。
父は『格下』と認定した相手には一切容赦がない。
ただし外ではそれなりに外ヅラを取り繕って結構うまいことやっている。彼が牙を向くのは絶対に自分に歯向かってこない安全な相手、要するに家族だけなのだ。
ちなみに父の言う『格』とは、ズバリ学歴のことである。
父の中では「優秀か、そうでないか」がなによりも重要で、ウチの家族の中で父に認められてるのはA大生の兄だけ。A大は父の母校でもあるからだ。
短大卒の母と、C大の私は「バカ」って見下されて絶対に認めてもらえない。
父の隣で無言、無表情を貫いてうつむきがちにコーヒーをすする母を、父がまた顎でしゃくる。
「ね? この態度。コレ見たらわかるでしょ?」
「え、ええっとーー・・」
「すみれはコイツに似てデキが悪い。つきあっててわからない? それともバカな女を相手にするほうが気楽なの?」
父が続ける。夫婦はね、格が同じでないと上手くいかないんだよ、って。
君とすみれじゃ、まあダメだろうね、って。
***
例えばコレがそう、って父が母を顎でしゃくる。
「上司の紹介を断れなくてね。だけど結婚してみてすぐわかったよ。まあ見事にハズレ」
半笑いの父が母に向ける視線ときたら、これまた殴ってやりたくなるような厭らしさ。
父は『格下』と認定した相手には一切容赦がない。
ただし外ではそれなりに外ヅラを取り繕って結構うまいことやっている。彼が牙を向くのは絶対に自分に歯向かってこない安全な相手、要するに家族だけなのだ。
ちなみに父の言う『格』とは、ズバリ学歴のことである。
父の中では「優秀か、そうでないか」がなによりも重要で、ウチの家族の中で父に認められてるのはA大生の兄だけ。A大は父の母校でもあるからだ。
短大卒の母と、C大の私は「バカ」って見下されて絶対に認めてもらえない。
父の隣で無言、無表情を貫いてうつむきがちにコーヒーをすする母を、父がまた顎でしゃくる。
「ね? この態度。コレ見たらわかるでしょ?」
「え、ええっとーー・・」
「すみれはコイツに似てデキが悪い。つきあっててわからない? それともバカな女を相手にするほうが気楽なの?」
父が続ける。夫婦はね、格が同じでないと上手くいかないんだよ、って。
君とすみれじゃ、まあダメだろうね、って。
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