しかし。当然だが、責任は半分ずつ私たち2人にある。

なのに妊娠が発覚してから色々頑張ってくれたのは全部加瀬くんで、私はなんにもしていない。そもそもB大中退して就職するハメになった加瀬くんのほうが、私なんかよりもよっぽど被害が大きいのだ。
私のほうこそ申し訳ありませんって頭を下げたら、お母さんが身を乗り出すようにして聞いてきた。「律がワガママ言ってすみれさんを巻き込んでるんじゃないの?」って。

「私ね、本当にそれだけが心配」
「それ、オレも思ってた!」
お母さんの言葉を聞くなり、圭太くんが頷きはじめる。
「兄ちゃん小宮山さんにワガママばっかだもんね。もしかして今回もじゃねえかなって」
「はあああん!? なんじゃそりゃ!!」
私の横からずずいと割り込んできた加瀬くんが、すんごい不満顔で圭太くんに文句言い始める。
「なんでオマエにオレらのことがわかんだよ! オマエ、小宮山のこと覚えてるつっても、挨拶くらいしかしたことねーじゃねえか」
ところが。納得のいかない加瀬くんに、圭太くんが意味ありげにフフフと笑う。
「いーや、知ってる。だってウチ壁薄いんだもん。会話(・・)物音(・・)もぜーんぶ筒抜けてたぜ?」

「オマエ・・最っ悪!」