ギョッとしたのは私も同じ。
同じく床に正座しようとすると、加瀬くんが慌てて私の腕をつかんでストップをかけた。
「オイまて! 冷えるじゃん。こんなのやめとけよ」
「こっ、この状況を椅子から見下ろすとかムリ!」
加瀬くんの心遣いはとってもありがたいが、のんびり椅子になんか座っていられない。彼の制止をふりきって、私はご両親の正面に正座した。

「ああ、もう!」

ご両親の側でなく私の隣に腰を下ろした加瀬くんは、あえての胡坐(あぐら)で土下座を拒否。
「小宮山が気い使うからフツーに座ってくんない?」
むっすーって迷惑そうに顔をしかめる加瀬くんの態度に、お母さんがブチ切れた。
「アンタのしでかしたことをお詫びしよーとしてるんでしょうが!!」

あああ、マズイ。
親子喧嘩が始まってしまう・・!

「おっ、お待ち下さい、私も同罪ですからーーー!!」

いつもの事なかれ平和主義を発動した私もその輪に乱入。
それぞれがギャーギャーと譲らず、場は大いに混乱した。
結局、「チョットもう一旦やめてよ。小宮山が冷える!!」っていう加瀬くんの一喝で、ご両親と加瀬くんによる土下座という事態はなんとか免れたのだった。

だけどやっぱり、椅子に戻られたお二人に丁寧に頭を下げられてしまう。
ウチの息子がとんでもないことを、って。