そして車はあっという間に加瀬家へと到着。
さっきまであんなに元気にはしゃいでたのに、車を降りた先生はガチガチだった。私も負けずにガッチガチ。
唯一全くいつも通りの加瀬くんがなんの中緒もなくインターホンを鳴らし、勝手にカギを開けて「ただいまー」って中へ入ってく。

まず、だだだって凄い勢いで玄関に現れたのはハツラツと笑顔全開のお母さんだった。そしてその後ろに穏やかそうなお父さんが続く。
この時点で早くも「わあっ」ていう歓待がはじまった。お母さんとお父さんに先導されてリビングへと案内される私たち。
ホッと胸を撫でおろした私と、同じく似たような表情を浮かべてる小野先生との視線が静かに重なった。小さく頷く先生の目が『滑り出し上々』とばかりにきらりと光る。

リビングでは、すんごい大きく成長した圭太くんが私たちを待ち構えていた。
加瀬くん、先生、私と、次々挨拶してく圭太くん。

人懐っこい圭太くんは、昔のまんま。
「ねえ小宮山さん、オレのこと覚えてる??」
「ウン、覚えてるよ」
私はデッカい圭太くんに目が釘付け。私たちは思わずその場に立ち止まり、しげしげとお互いを眺め合った。
「そ、そうか・・もう高校生だもんね? てかやっぱ加瀬くんソックリ!!」
「小宮山さんは前よりオトナっぽくなってる! そんでやっぱりイイ匂い!!」
すんすんと鼻をならしてみせる圭太くんに加瀬くんが眉を吊り上げた。
「ヤメロ、バカ!」

見た目によらず、圭太くんの中身は幼ないままだった。
「わーい」ってはしゃぐ圭太くんの頭を加瀬くんがはたく。

「いてえ!」
「ウルサイんだよ、オマエは!!」

のっけから、加瀬家はなんだか凄くにぎやかだった。