南坂川駅にはすでに小野先生がいて、私たちをみつけると大きく手をふって迎えてくれた。

「小宮山、久しぶりだなあ」
「先生、今日はアリガトウゴザイマス」

小野先生の車に乗せてもらって加瀬家へと向かう。
その車の中では、終始どーでもいい気楽な話に花が咲いていた。

「オマエらホントに仲良いね。なあ、どっちが先に好きって言ったんだよ?」
「それはさ・・」
って口を開きかける加瀬くんを先生が強引に制止した。
「まてまて、オレが当てる!」
で、チョットだけ「うーん」て首を捻ってから・・
「やっぱ加瀬だろ? なあ、アタリ?」
「アタリ。だってオレが好きって言わねーと進まなかったもんね。んでも小宮山だってオレのこと好きだったんだぜ?」
「な?」って加瀬くんが私のほうをふりむく。
「ウ、ウン」

「なのに小宮山がワガママ言ってなかなかつきあうって言わねーからオレ大変だったんだよ」
「嘘つけ。ワガママはおまえだろ。駄々こねまくってお情けでつきあってもらえたんじゃねーの?」
「チガウわ!」
なーんて騒ぎながら。