「オレの子供、もうちゃんと心臓動いてんだよ? 小宮山が写真もってた。まだマメみたいだったけど」
って言ったら、小野がハッてして目を泳がせた。
「その写真、知ってる。オレも見たよ、同じの・・」

ぼそっとそうつぶやいてから、小野はしばらく深刻な顔をして黙り込んでいた。
んだけどそのうち、おずおずと口をひらいた小野はーーー

「オレ・・どっちかって言ったら、オマエの背中押してやりたい」
「マ、マジで!?」
興奮して腰を浮かせかけるオレに平手をかざし、渋い顔した小野が落ちつけのジェスチャーとともに着席を促してくる。
「だけどな、それしちゃったらオマエの人生、定番から外れちゃうだろ? せっかくB大にまで入ったのに」

「別にオレ定番でなくていい」
「まあな。オマエはそーゆうヤツだよなあ・・」

オレはだいぶほだされてきた小野をここぞとばかりにオシまくった。
なんとなく、あと一息でどうにかなりそうな気がして。
小野はめんどくさがりだけど、意外に面倒見は悪くないから。