「21週までに仕事みつけられなかったら堕ろすって小宮山と決めてんの。でもオレ、堕ろすのヤなんだよ」

「オマエの気持ちもわかるけど。それでもやっぱり、まずは親に話すべきだよなあ・・」
「話して反対されたら? 堕ろせって言われたら親のゆーこと聞いて堕ろすのかよ?」
「うーん・・」
「ヤだよ。だってオレと小宮山の人生だろ?」
「うーんんん・・」
唸りながら頭を抱えてた小野が急にハッと顔をあげた。
「そうだ、小宮山!! アイツはなんて言ってんの?」
「小宮山は堕ろす気満々だったんだけどさあ・・」
「なんだ。じゃあ堕ろせば・・?」
うつむきがちの小野が、上目遣いでチラッとオレを見る。

「アイツさ、ずーっとハラ庇ってんの。無意識に」
「・・・」

「酒飲まねえし。オレのことも拒むし。なんでかなって思ったら妊娠したの隠してて」
「・・・」

「初めて病院行った帰りに、コドモに悪いって泣いてた」
「そ、そっか」

「仕事探すのもさ、オレの人生がパーになるつって最初はスゲー反対してたんだけど、今はオレの就職がうまくいったら産みたいって言ってる」
「そっ・・かあ・・・・」