「マジメに聞けよ。オレ、オマエに言いたいことがあんだよ」

宥めるように私の二の腕あたりに手を添えて、加瀬くんがおもむろにひとつ、小さくスハーと深呼吸。

マ、マズイ・・仕切り直してる!!
私の頭に、第二波到来の警報が鳴り響いた。

「小宮山が好・・「イ、イヤだ!!」
「エ!??」
「ヤだ、お願い。それ言わないで!!」
「エエッ??」

再び加瀬くんの口を封じるべく手を伸ばしてみるも、加瀬くんだってそう何度も同じ手は食わない。のけぞるようにして器用にそれをかわしつつ加瀬くんが怒る。
「ヤメロって! なんで邪魔すんだよ!?」
「加瀬くんがしゃべろうとするからでしょ!」
「オレはしゃべりたいの!!」
色々めんどくさくなってきたのか、加瀬くんは私をちゃっちゃといなして取り押さえると、胸におさめてきつーく抱きしめた。
身動きを封じられた私の耳元に、加瀬くんの困り果てた声が響く。

「チョットもう・・大人しくしてよ!」