ーーーだけど、小宮山は?

こっそりと彼女の表情を窺ってみて、オレは静かに肩を落とした。
毎回毎回、オレは悲しくなるほどキレイに小宮山にスルーされる。小宮山はオレのこういうところに全く反応しないのだ。

自分で言うのもナンだけど、小宮山へのオレのアピールはすんげえ露骨であからさま。アレでわかんないようじゃあ、わかんねーほうがどーかしてる、ってくらいには。

もしゃもしゃと嚙み砕いたチョコが口の中でやわらかく溶けてゆく。
小宮山の顔を見るのが辛くなり、代わりに目の前の小さな手のひらに視線を落とした。

ーーーってことは、だ。

どう考えたって小宮山のコレはあえてのスルーだ。
それはつまり、彼女にはオレの気持ちに応える気がないってこと。
都合よく色々期待しちゃったりもすんだけど、たぶんオレは小宮山になんとも思われてない。

小さなため息を漏らして顔を上げたら、気の毒そうな顔をしてオレを見ている冨永とバッチリ目が合った。

「・・・」
「・・・」

冨永がなんとなく目をそらしてチョコを食べ始める。
あんなに煩いくせに、こういう時には気を使ってなんも言ってこねーんだから、これはこれで結構こたえる。

オレは小宮山が好きだ。
2年になってすぐ、オレは後ろの席の小宮山に恋をした。