今日は天気が良くてとても暖かかった。
診察の後、病院のすぐ隣にある公園でオレらは少し話をした。
小さな子供たちがわあわあと遊具で遊んでるのを眺めながら。

「キチンと避妊しなさいって怒られちゃった」
「避妊、してたんだけどなあ」
「こういうこともあるんだって」

「あのね、手術は日帰りでできるけど、誰か付き添ってくれる人がいたら安心って言われた。加瀬くん、それ頼める?」
「ウン。もちろん」

小宮山は落ち着いてて表情も穏やかだったけど、口数は随分と少なかった。

「大丈夫? 身体ツライの?」
「んーん。ただちょっと・・可哀想だなって」
その視線の先にはベビーカーの赤ちゃん。
「こっちの都合で殺しちゃうんだもんね。悪いコトしたなって」
そう言って小宮山がうつむく。
膝の上で握りしめてる手の甲に、ぽとりとひとつぶ涙がこぼれた。

「ねえ、オマエ産みたい?」
「まさか。ムリだよ」
「ムリかどーかは置いといてさ、小宮山の気持ちはどーなの? 赤ちゃん、ほしい?」
「そ・・・っれは・・・」

小宮山の目が揺れる。