いろいろあったあの夜から数週間後。オレはまた小宮山の部屋にいた。

ベッドサイドの小さな灯りの中、小宮山がオレの左手を両手でつかんで自分の目の前にかざす。
「ゴメンね、これ。恥ずかしかったらいつでもやめていーよ?」
「いや、やめねえ。なあこれ、うれしい?」
「ウン、すごくうれしい。ありがとう」
小宮山がもぞもぞと近づいてきてぴたっとオレにくっついた。小宮山は甘えたくなるとこんなふうにオレの胸に勝手に収まって、自らだっこのスタンバイをする。

「あ、そうだ。オレもう親睦会行ってねえからな? 行ってた時も合コンやってたのは一部のヤツらで、オレは女子とメシ食ったりしてねえ」
「そうだったんだ・・てっきり女の子に囲まれてゴハン食べてんだと思ってた・・」

後藤の言う通りだった。

「あとさ、オレ引っ越したぜ」
「ひ、引っ越したああ!?」
小宮山がガバっと起き上がってオレを見る。
「うん。もうあのアパート出たからな」