翌日。バイトに出るなり八木先輩が飛んできた。

「どうよ、小宮山さん。ゆうべホントに大丈夫だったの?」
「ハイ。アレ、浮気じゃなかったみたいで・・」
って言いかけたら、先輩の顔があからさまにシラけた。
「まさか、それ信じてんの? 浮気に決まってんじゃん」
「いや、それが違くて。ちゃんと事情があって・・」
「いやいやいや。部屋から女の子が出てきたんだぞ? アンタ、どんだけバカなの?」

先輩は加瀬くんを全く信じていなかった。
わからなくもない。私だって昨日まではそう思ってたんだから。

「だってウソ言ってるかんじじゃなかったし」
「タラシはそーゆうのがウマイんだよ」
結局先輩には何言ってもダメ。全然信じてもらえない。

「でもまあ、無事でよかったわ」
って、先輩が笑う。基本、いい人なのだ。