LINEのやりとりを見て、オレはものすごい危機感に襲われていた。
だってこういうタイプは絶っっ対にダメなのだ。
ズケズケと遠慮がなくて、我の強い男。
小宮山が気を使わず、遠慮なく甘えられるのがこういう相手だから。

「加瀬くんが心配しなきゃいけないような相手じゃないよ」
「冗談だろ!? 最悪の相手じゃん」

知らないヤツのこと想像するのは余計に怖い。よくない妄想ばっかしちゃうから。
「あーダメ。コワイ。オマエ抱いてねーと不安になる」
たまんなくなって、小宮山をベッドに押し倒した。
「エ!? ウソ、もうムリ・・!」
「わかってるよ」
小宮山に乗っかったままガックリうなだれてたら、
「ねえ、ちょっと抱きしめて?」
って、小宮山がいきなりオレの首に腕を巻きつけてくる。
「え・・??」
「お願い」
ねだられるままに、小宮山をぎゅっと抱きしめた。

「私ね、加瀬くんの腕の中がイチバン好き。これさえあれば他にはなんにもいらない」

そう言う小宮山の顔見て涙が出そうになる。
だってオレ、ずーっとこの顔が見たかった。
オレが見たくてしょうがなかった小宮山のトロけた顔が、今、目の前にある。

胸が締めつけられた。
この気持ちを言葉で表現するならば、一番近いのはたぶん『愛しい』。

甘くて、あったかくて、幸せってきっとこういうこと。
オレはこの幸せを絶対に手放せない。

「ねえ、このままずっとオレといて・・
・・・
オイ、寝んなよ」

たぶんもう何にも聞こえてない。
オレの首にまわってた小宮山の腕がずるりと落ちた。

「オヤスミ、小宮山」

***