小宮山をゆりおこしてスマホを見せた。
「なあ、これ誰? 男だよね?」
「オトコ・・?」
小宮山が嫌々目を開けてスマホをのぞく。
「なんだ、先輩か。何の用?」
「それはオレが聞きたい。ひらいてよ、コレ!」
眠たがる小宮山に無理矢理スマホをにぎらせ、ロックを解除。

『大丈夫か?』
『心配だから連絡しろ』

八木って男からのLINEは、全部、小宮山を心配する内容のモノだった。念のためにって市内にあるDVシェルターの情報まで送られてきてる。『万が一の場合は、ここへ行け』って。

「なんでオレ、こんなDV野郎みたいな扱いになってんの?」
「あー・・」

この八木って男も小宮山も、オレの浮気は100パー間違いないって思ってたらしい。
なのにそのオレが堂々と小宮山のバイト先に現れて、酷い態度で小宮山に絡んじゃったから・・

「態度が悪すぎたんだよ。顔もコワかったし」
「それはしょーがなくない!?」

「コイツもあの店にいたの?」
「加瀬くんのお会計してくれた人だよ」
「・・どんなヤツだっけ?」
全然思い出せない。