「なんで男の加瀬くんが、女の子に襲われてんの? オカシイよね!?」
「それは・・ホントにゴメン。まさかあんな子だとは思わなかったんだよ」
小宮山がフンて顔を背ける。
「軽々しく部屋に入れたりするからでしょ!」
「だ、だからそれはーーー」
「わかってるよ。理由聞いたけど、それでもイヤなの! 部屋、入れてほしくなかった!」
「ゴ、ゴメン」

小宮山の機嫌は悪くなる一方。

「そもそもあの子と一緒に住んでんのがイヤ!」
「はあ!? 一緒になんか住んでねーわ。同棲してるみたいにゆーなよ」
「だって、同じ家に住んでんじゃん!!」
「えええ」

コドモのような駄々をこねる小宮山のご機嫌をこれ以上損ねないように、なるべくソフトに「同じ家じゃないでしょ? アパートが同じなだけでしょ?」って言ってみたオレだったが。
「そんなの言われなくてもわかってる! だけどイヤなの!!」
デカイ声で思いっきり叫んで、ついでにジタバタと足元の布団を蹴りまくる。キーッてなった小宮山はゴロリと身体の向きを変えて枕に顔を埋めた。

「だってあの子加瀬くんのことが好きなんでしょ? 断れたって言ってもギリギリじゃん!」
「ウンまあ、ちょっとヤバかったけど・・」
「そんな子と一緒に住んでるなんて怖すぎる!!」

小宮山が「やだあ」って叫んでわーんって泣く。

ついでに溜め込んでた不満も全部吐き出す。
電話した時に後ろで女の子の声がするのがイヤ。
そもそも合コンみたいな親睦会にオレが出てんのがイヤ。
オレがユビワしてないのもイヤ。全部全部イヤだって言ってわんわん泣く。

ビックリした。
小宮山がこんなになるの、はじめて見たから。
なんつーか。普段こーゆうのをやんないタイプなだけに拗ねのスキルが低すぎて、暴れっぷりが幼く、拙く、ムダに激しい。