それから後の小宮山は、なんていうか・・ちょっとピントがズレながらもすごくフツーだった。
さっきまでのが嘘みたいに、ごくごくフツー。
だけどその態度にもオレは覚えがあった。
オレらがつきあう前、まだオレが小宮山に距離とられてた頃の雰囲気によく似てる。

二度目のメシ(←オレは)とフロをすませて後は寝るだけ。
一緒にベッドにもぐりこんだら、オレが手を伸ばすよりも先に小宮山にしっかりとクギを刺された。
「加瀬くん、今日はナシでいい?」
「・・・」
言うだけ言ったら、小宮山はくるりとオレに背中を向けて「オヤスミ」って丸まってしまった。

そりゃ、小宮山がイヤならそーする。だけど、くっつくくらいはいいかと思って後ろからそーっと抱きついてみる。
「なあ、好きだよ」
久しぶりのやーらかさに震えながら、オレは後ろからアレコレと彼女にチョッカイを出した。エロくなんないようにってトコだけ気をつけて。
単純に、彼女にかまってほしかったのだ。

「こっち向いてよ。なんもしねーからさあ」

そしたら「ひっく」ってしゃくりあげる声と、ずずってハナすする音がしてーーー