その時オレは気がついたのだ。
小宮山の身体から、オレを拒む何かがダダ漏れていることに。

しかもこの感じには覚えがあった。
これって、あの時と同じ。
初めてケンカして小宮山にメチャメチャ拒まれた時の、あの感じ。

「なあオレ、ほんとに浮気なんかしてねえよ?」
「わかってる」
小宮山がオレに背中向けたままうつむく。
「あれが誤解だったのも、加瀬くんが悪くないのもちゃんとわかった」
「そっか。ならいんだけどーーー」
「でも、ゴメン。今日は・・」

「ヤだ?」
「ヤだ」

困ったことになった。
なぜか小宮山が心を閉ざしている。
「なあ、オレの疑い晴れたんだろ? なのになんでオマエそんなになっちゃってんの?」
「ーーーだから帰ってって言ったのに」
「絶っっ対帰らねえ」

そしたら下向いてた小宮山が顔をあげてオレを見た。
「加瀬くんゴハン食べよ?」って。

いや、オレさっき食ったけど・・