「オレ、浮気なんかしてねえ! 絶っっ対に!!」
身の潔白を主張して息巻くオレに、表情のない小宮山が静かに頷く。
「わかった」って。

「ホントに?」
「ホント」

一応、信じてはもらえた。とは、思うんだけどーーー

なんか・・小宮山の反応が、オレが思ってたのと全然違う。
「よかったあ」って笑ってくれると思ってたのに、小宮山の表情は無表情に曇ったまま、ちっとも晴れてはくれなかった。

「ね、ねえ、オレの疑い、ちゃんと晴れたんだよな・・?」
しつこく確かめようとするオレに、うつむいていた小宮山が顔をあげる。
「ウン。晴れたよ・・とりあえず信じる。疑ってゴメン」
「とりあえずってなんだよ、オマエ納得した?」
「ウン。した」

ウソつけ。
舐めんな。顔見りゃわかる。
オマエひとっつも納得なんかしてねーだろが。

困ったな、どーしたもんかな、って考えてた時、ふいに小宮山が地面の荷物に手を伸ばした。
それを見て、オレは思ったのだ。
そろそろ家に帰るつもりなんだろうって。ここで立ち話するより続きは小宮山んちでしたほうがいい。

「なあ、ちょっとコンビニよっていい? オレ、パンツ忘れた」
煌々と明るい店内を指さすオレに、小宮山は静かに首を横にふった。
「パンツ買わなくていい。駅まで送るからまた会おう?」
「な・・にそれ、まさかオレに帰れって言ってんの!?」
「ゴメン。今日はチョット・・ひとりがいい」

信じられねえけど、小宮山はオレのことを追い返す気らしかった。

「嘘だろ!? 久しぶりに会えたのに冗談じゃねえ!!」