「なんでだよ、小宮山ああ・・」
スマホを握りしめたまま、オレはがっくりと机に崩れ落ちた。
「彼女まだ電話出ねえの?」
「出ない。全っっ然」
目を血走らせて女に電話しまくるオレに、友人、後藤が気の毒そうな顔を向けてくる。

オレが人目も憚らず必死こいて小宮山に連絡を取ろうとしてるのは、昨夜遅くに小宮山から週末キャンセルの連絡が入っていたためだ。
『熱が出ちゃった。風邪みたい。治ったら連絡します』って。
オレは今朝起きてからそれに気がついた。
慌てて電話してみても、いつものごとくサッパリつながらない。着信履歴が残ってんだから小宮山のほうから折り返してくれたっていいのに、それもない。

小宮山のドタキャンは、GWのすっぽかしを皮切りにこれで通算7回、しかも連続。そのせいでオレはもう2か月近く彼女の顔を見ていない。

「あのさあ。言いたかないけど、やっぱそーゆうコトなんじゃないの?」
「そーゆうコト??」
「自然消滅の流れだろ。これは」
「そんなバカな」

有り得ねえ。
だって最後にすごした、あの甘い夜ーーーあの時オレらは確かに幸せだった。嘘じゃない。
珍しくワガママで甘えただった小宮山は、あの夜、オレに抱かれながら山ほどキスをねだったのだ。オレの首に腕を回して「加瀬くん、好き」「お願い、キスして」って。
あれがオレの記憶の一番最後。
んだから今でもオレが思い出すのは、あの時の彼女のエロくて可愛い顔ばかり。

ところが。

GWを境に、小宮山の様子がガラリと変わってしまったのだ。

なっかなか連絡が取れない上に、電話もLINEもとにかく必要最低限。
用事がすむと、すぐ切られちゃう。

「いやいや、それはない。オレら、ちゃんと会う約束してるもん。消滅なんかしねーよ」
「それを断られるから消滅するんだろ。今回のでドタキャン何回目だよ」

7回目、とはさすがに口にできなかった。