襲われそうになって、やっと気がついた。

これはーーー天然じゃねえ!!

魔性の女、本間さんをベリッてひっぺがして、浮気の危機を回避。
上がりかまちに放置されてたお菓子を拾ってそれをささっと袋に入れ直し、本間さんにぎゅうぎゅう押し返した。

「帰れ! んで二度と来んな!!」
何か言いたそうな彼女の背中を押して、ムリヤリ外に放り出す。
「じゃーね。バイバイ」

本間さんが何か言う前に素早くドアを閉めて施錠する。
バクバクする胸をおさえて、そーっとドアの向こうに聞き耳をたてた。
遠ざかっていく足音と、本間さんの部屋のドアが閉まる音をキッチリ全部確認してからオレはへなへなと玄関に腰をおろしたのだった。

はあ、ビビった。
まさか部屋にまで来られるとは思わなかった。
しかも危うく狩られるところだった。
あんなフワフワした女の子に。

やっぱここは落ち着かねえ。
小宮山が来たらどんだけ文句言われても、小宮山連れて小宮山んちに行こう。

・・って思ってたんだけど、小宮山は約束の時間になっても現れなかった。
しばらくしてLINEがくる。
来られなくなったって。

小宮山はオレのハタチの誕生日をドタキャンした。

***