「チョットチョット! 入んないで、困る!」
「せっかくだから食べてみてよ。これすっごくおいしいから」

オレの苦情を丸ごとスルーして、本間さんが一点の曇りもなさそうな澄んだ瞳をオレに向けてくる。
オレがウッて怯んだ隙に、彼女は玄関にしゃがみこんでお菓子の包装紙をはがしはじめてしまった。

い、今すぐここで菓子食わす気!?

またまた頭が混乱してくる。
純粋にお土産くれようとしてるだけ??
素直に受け取ったら帰ってくれんの??

どどど、どうしようーーー

背中向けてる彼女を見下ろして立ち尽くすしかできない。

その時だった。
突然立ち上がった本間さんが、しなだれかかるようにしてオレに抱きついてきたのは。

狭い玄関。背中にはドア。
抱きつく彼女をひきはがしてわずかに後ずさるも、オレの後ろにはほぼ全くスペースがない。オレはあっという間にまた本間さんに捕まった。
余裕の笑みを湛えた本間さんがおもむろに両腕を伸ばしてオレを囲う。

まさかの壁ドン。小宮山にだってしたことないのに、なぜオレが!?
「ウソだろ、勘弁してよ・・」
凍りつくオレに本間さんがふんわりと微笑んだ。
「彼女さん、今来ちゃえばいいのにね?」って。

「は・・・・?」

ポカンとするオレの首に腕をまわして本間さんが顔をよせてくる。
やべ、キスされそう・・!!