バイトから帰ってきてバタバタしてたとこに『ピンポーン』て玄関のチャイムが鳴った。時計を見るとまだ小宮山と約束してるより2時間も前。
小宮山にしちゃ早いなって思いながら、オレは何の確認もせずにドアを開けてしまったのだ。まさかそこに本間さんが立ってるなんて思いもせずに。

「うわ、どうしたの、本間さん。何か用!?」
ドアノブ握りしめたまま固まるオレに、本間さんがおっとりと笑う。
「実家に帰ってたの。これ、お土産」
「お土産??」
本間さんの手には、近くの県の有名な銘菓の紙袋がぶらさがっていた。

「そんなのいいよ、もらえない。それよりもうすぐ彼女が来んだよ。悪いけど今すぐ帰ってくれる!?」
「そっか。彼女さんが来るの」
「そ。じゃあまたね」
って、オレはドアを閉めようとした。が、しかし。

「・・・・ねえ、すこーし後ろにさがってもらえる? ドア閉めらんねーんだけど・・」

オレのお願いを聞いているのかいないのか。
丈の短いスカートから大胆に伸びる涼しげな足を一歩、二歩と前に進めて、本間さんが玄関の中に勝手に身体を割り込ませてくる。
ヒラヒラと薄手の、しかも胸元の大きく開いたワンピースを着てる彼女の身体に触るわけにもいかず、距離をとってのけぞるオレの前をスイスイ歩いて入って来る彼女を止められない。
焦ったオレはうっかりドアノブから手を離してしまい、オレというストッパーを失ったドアが本間さんの背後でバタンと閉まった。

「!!!」

やべ、入れちゃった。閉めちゃった・・!