「よく彼女さんと一緒にそこのスーパー行ってるよね?」
本間さんがそう言って指差すのは、アパートから見える近所の小さなスーパー。
「あ、ウン」
「私ね、お料理スッゴイ得意なの。今度彼女さんにもご馳走してあげたいんだけど、ダメかな?」
「えええ。それもチョットーーー」

オレの漂わせるNОの雰囲気に全く気づかない本間さんが更に面倒なことを言いはじめる。

「ねえ、よかったら味見してみてよ。今から加瀬くんのお部屋で何か作ってみてもいい?」
「ハア!?」
早速オレの部屋のある3階へと階段をあがりはじめる本間さんを、オレは階段下から呆然と眺めた。
「先に加瀬くんの冷蔵庫みせてもらって、買い物はその後ふたりで行こうか?」
「ハアアア!?」

いや、まって。
オレはまだ返事してナイ。ひとつも了承なんかしてナイ。