「あーハラへった。早く帰ろ?」

小宮山んちについたら一緒にメシ作って、それ食って、フロ入って。
その後はオレら恋人同士だし、やっぱシッカリ仲良くする。
んで、更にその後は。
ふたりでベッドにもぐりこんで、ダラダラすごす。ベッドサイドのちっちゃなライトだけつけて。

うつ伏せになって顎の下で腕を組んでる小宮山の左手薬指には、去年の彼女の誕生日にオレが買った安物のユビワが光っている。

「へへへ。これ、効果絶大だな」

大学に入ってから、小宮山の周辺は平和そのもの。
今のとこなんのトラブルもない。

「別にこれの効果ってわけじゃないよ。ただなんにもないだけ」

小宮山はそう言うけど、オレは間違いなくコイツのおかげだと思っている。
オレがずーっとつけとけって言ったから、小宮山はバイトの時以外ユビワを外さない。左手にこれしてるだけで男がいるってわかるんだから、こんな便利なものはない。