小宮山の通うC大周辺は、すげー田舎で何もない。
大学の近くにちょこっとだけ賑やかなエリアがあって、C大生はだいたいこの辺りにアパートを借りて住んでいる。土地勘ゼロの小宮山もそう。大学から近いところのほうがわかりやすいし楽だから、って。

小宮山は入学してすぐ、アパート近くの定食屋みたいなとこでアルバイトを始めた。彼女がここを選んだのは、日曜が定休日だから。学生客の多い店だからか、週末はがんばらないらしい。

今オレは、その店の向かいのコンビニにいる。
雑誌をめくりながらヒマをつぶしていると、店に入ってきた小宮山がオレをみつけて手をふった。

オレらはかわりばんこにお互いの家を行き来して、週末だけ同棲してるみたいな生活をもう半年以上続けている。