「それにね、大学にどんな人が集まってくるかにもスゴイ興味ある。変わった人が多そうだしさ、オモシロイ話ができそうじゃん」って。

「・・・」

また小宮山を遠くに感じる。もうコレ、何回目だかわからない。

小宮山の興味のある世界がオレには全くわからない。
いるかもね。同じテンションで話ができるやつが、哲学科にはたくさん・・

「ねえ、哲学科って男女の比率どれくらい? 男、多いの?」
「え? どうだろ・・ワカンナイ」

ハルキの時に感じたのと似たような不安が胸をよぎる。
オレには絶対できないハナシができちゃう哲学科のオトコーーー

「なんかムチャクチャ不安になってきた・・」
「加瀬くんだって、工学部でリケジョに囲まれんじゃん。私だってスッゴイ不安」
本の箱をぐいっと押しやって、小宮山をつかまえた。

「不安になったら会お」
「ウン」
小宮山がオレの背中に手をまわそうとしてハッと躊躇する。
「加瀬くん、上もちゃんと着てよ。ナマナマしいよ、直視できない!」
「えー、今更??」

そこで小宮山がまたハッと気づく。
「ああ、マズっっ、時間・・!!」

***