「なあ、勉強時間まだ余裕ある? もうちょいキツめにやんねえ?」
「えええ、これ以上!?」
小宮山の顔がひきつる。
「家でやるぶん増やせよ。もっとイケるだろ」

何が何でも小宮山をC大に入れようって思った。
小宮山がD大かE大に行くって言い出したらエライことになる。

その時突然、オレらふたりだった教室に小野が現れた。小野は今、小宮山のクラスの担任をしている。

「お。エライなー。オマエら残って勉強してんのか?」
って、ズカズカ歩いてきて、小宮山の問題集をのぞく。
んで、ヘコんでる小宮山を遠慮なく笑ってくれちゃったりする。

「なんだよ、バツばっかじゃねーか、小宮山あ」
「はあ」
「にしてもひでーな。1年に混ぜてやろーか?」
「イヤです!」
小宮山が問題集をバシッと閉じる。ほんとにバツばっかだから。
「やめてよ先生、小宮山のヤル気そぐよーなことゆーなよ」