「D大!? ウソだろ、オマエ海渡る気!?」

E大なんてD大よりも更に遠方なのだ。
オレは焦った。小宮山が何を基準に大学を選んでいるのかがサッパリわからなくて。

「なんでそんなあっちこっち遠いとこばっか選ぶんだよ! 何をどーしたらそんなコトになるわけ!? 偏差値??」
「あのねえ、哲学科ってどんな教授がいるかが大事みたいで・・」
自分の興味のある分野の研究してる教授がいるとこ狙って入んないと、ツマンナイんだって小宮山が言う。
「だって全然興味ないゼミに入るの嫌じゃん?」
「じゃ、C大も、D大も、E大も、教授で選んだわけ?」
「それと偏差値。んでそれを近い順に並べるとこーなるの」

これでも近いほうらしい。

「で、小宮山は何のゼミに入りたいの?」
「ハイデガー」
「なにそれ?? ハイデガーって何!?」
「ドイツの哲学者」
「・・・」

知ってるようで全然知らなかった。小宮山のこと。