「持ってきた?」
「・・持ってきたけど、あんまり見せたくない」
「ダメ! 出せ、早く」

GWが終わってすぐ、オレは小宮山の成績がどんなもんか現状を把握することにした。で、とりあえず4月にやった模試の結果見せろって言って、成績表を持ってこさせたのだ。

合計が330点くらいだった、ってのは本人からもう聞いてる。
なのに、なにをグズグズ出し渋ってんだと思ったら、嫌々差し出された成績表を見てその理由がわかった。

「な、なにコレ・・!?」
「ね? 壊滅的でしょ? 言ったじゃん」
小宮山が気まずそうに目をそらす。
たしかに小宮山の理数はズタボロだった。数・理、併せてやっと80点。
「ムチャクチャ頑張ってもこうなの」
「そ、そう・・」

春休みに必死こいてやったぶん、これでもいつもよりは随分マシなんだって小宮山は言う。
んじゃ、いつも(・・・)の点数ってーーー

言葉を失うオレだったが、救いもあった。
小宮山、文系科目はどれもイケるのだ。
「国、英なんかオレより取れてる!!」
小宮山の問題は、文・理のバランスが悪すぎること。
私立ならこれでもいんだけど、共通テストを受けるとなれば話は別だ。

「C大受けるのにこれじゃマズイ・・」

とりあえず理数の問題集解きまくろうぜってことにして、放課後一緒に勉強することにした。小宮山が解いて、わかんなかったらオレが教える。
オレはオレで自分の勉強もしつつ。

最初の何日かはロボコン部の部室に通ってみたけど全然ダメだった。誘惑が多すぎて勉強どころじゃなくなる。主にオレが。
次に試した図書室も、話しづらくてイマイチだった。
で、最終的に3組の教室に落ち着いて、オレらは放課後学校に残って毎日一緒に勉強をしている。