・・にしても。
ああ、ヤワラカイ。気持ちイイ。

「へへへ。大学生になったらこーんなふうに週末すごせんだよな? それはそれでオレ、すっげー楽しみ」

ふにゅふにゅした身体につい手が伸びる。
これから始まる受験生活、これに目が眩んじゃったら終わりだな、とも思う。

「もーヤだ。やめて」
「いーじゃん、チョット触るだけだヨ。どーせ帰ったらまた、なーんもできねえんだからさ」
って言ったら、小宮山が文句言うのやめてオレの好きにさせてくれる。
それでつい・・ヨクナイところに手を伸ばしそうになってたところで、小宮山が突然顔を上げてオレを見た。

「あ、そういえばまだ言ってなかった。誕生日おめでとう」
「そーゆうのは日付が変わる前に言ってくれる?」

いつのまにか、オレの18歳の誕生日は終わってた。

「あー、いい誕生日だった」
「寝よっか、そろそろ」
「イヤだ。まだ寝ない」
「・・とか言ってムチャクチャあくび出てんじゃん」
って小宮山が笑う。

くっそう、寝る気なんか全然ないのに。
なのにオレはもう目を開けていられなくなっていた。

意識を失う前に、もっかい小宮山をシッカリ抱えなおす。
腕の中の幸せを確かめるみたいに。

最後に言いたかった「オヤスミ」はもう言葉にならなかった。