ロボコンが始まってすぐ、お兄ちゃんが会場についた。
「すみれの彼氏ってどいつ??」
「まだ出てないよ」
「どんなやつ? いつからつきあってんの?」
「えーっとね・・」
色々聞かれる。
お兄ちゃんなりに心配してくれてるのだ。泊りのための条件だってそう。
うちは両親とうまくいかないぶん、兄弟仲はわりといい。

「お兄ちゃんは? 彼女できた?」
「いや全然」

へへへって恥ずかしそうに肩をすくめてみせるお兄ちゃんは、優しいし、顔もまあまあだし、頭だっていいのに、なぜか彼女ができない。

「しっかし加瀬くんって肝が座ってんね? まさか挨拶するって言われるとは思わなかった」
ってお兄ちゃんがおかしそうに笑う。
「そうそう。神経がね、ズ太い性格」
「すみれに合ってるかもね、そーゆうやつ」