淡々とそんなことを話す小宮山に、オレはココロが追いつかなかった。

「んでもさ、『今』のオレらのシアワセはどーなんの? 目の前のシアワセよか、おこるかどーかもわかんない未来の可能性を優先して物事を決めんの?」
オレがそう言うと小宮山はウッと言葉に詰まった。
だけど彼女は、すんげえ迷いながらも、
「それでもやっぱり、個人個人でお互いのベストを選択したほうがいいと思う」
ってキッパリと言い切ったのだ。

正直オレは、小宮山ほどドライになれない。こんなの冷てーなって思っちゃう。
不確かな『先』のことよりも、『今』の気持ちを優先したいって思いのほうが断然強いから。
オレならきっと、別の選択をする。だけどーーー

そおっと手を伸ばして彼女の手をにぎった。

「ねえ、オレのこと好き?」
「すっごい好き」
「オマエ、遠恋できる?」
「ーーーそ、それは、死ぬほど怖いんだけど・・」

そう言う小宮山は本当に本当に不安そうだったから。
それを見てオレはちょっと安心したのだ。

「フン。バカ。ビビリのクセに」