「哲学科に行きたい」

って照れくさそうに言う小宮山を、また少し遠くに感じてしまう。
オレの知らない間に、進路決めて、受験勉強始めて、クラスだって国公立文系にちゃんと変えてもらって。

「あーあ。小宮山はオレよりもC大をとるワケね? それ決める時、オレのことチョットは考えてくれた?」
素直に拗ねてみた。寂しくて。
そしたら小宮山がすごーく複雑そうな顔をする。
「加瀬くんのこともあわせて、マジメに考えたらこーなるんだし」
「どこがだよ」

オレを抱く腕にぎゅって力をこめた小宮山は、ここで突然、縁起でもないことを言い出した。

「例えばさ、先で私たちがダメになることがあったとしてーーー」
「はあ!? なにソレ!?」
ギョッとして叫んだら、
「だから例えばの話だよ。仮にのハナシね?」
って小宮山が念を押してくる。

「将来加瀬くんに好きな人ができて、別れようってなった場合にさ・・」
「オレが別れる原因作んのかよ」
「私にとっての『最悪の例えば』だから。コレ」
「あっそう」
納得はできないけど、一応話は聞く。

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