加瀬くんの目がテンになる。

「テツガクカ?」
「ウン」
「小宮山、テツガクシャになるの?」
「なるわけないじゃん」

うん。これもまた、ごく一般的な反応だ。
誰に言ったって似たりよったりの反応が返ってくる。それはもうすでに身内・友人で検証済みだった。

「哲学科って何すんの? 実学系じゃあないよね?」
「ウン。お兄ちゃんにもオマエは貴族か何かかって言われた」
こういう反応になるのはよくわかるのだ。
だからこの間も、なんとなく躊躇してしまって正直に言えなかった。
「オレ、哲学科なんて初めて聞いた」
「やっぱり?」

A大・B大の近くには、私立大がたくさんある。
それでも、哲学科を設置してる学校はひとつもない。
哲学科に行きたいと思ったら国立を狙うしか道がないのだ。

「ナルホド。それでC大ね・・」

加瀬くんが黙り込む。

***