いよいよロボコンまで1週間を切ったある日のこと。
女子数人でぐるりと輪になり、和気藹々とお弁当のつつみをほどいていたところへ、ふらりと加瀬くんが現れた。
「小宮山あ、今日は一緒にメシ食お?」
教室の入り口から顔をのぞかせる加瀬くんに、すかさずマナがしっしって手をふってみせる。
「だーめ。アンタは1組で食べなさいよ」
「いーじゃねえか。たまには!」
加瀬くんは私のお弁当をささっと包み直すと、勝手にヒョイと取り上げた。

「いこ、小宮山」

お弁当メンバーの輪を抜けて、私は加瀬くんと一緒にロボコン部の部室へと向かった。
だーれもいない部室棟の廊下を、うずうずと落ち着きのない加瀬くんが私の手をひいて歩く。
そして部室へ入ると、ドアも閉まりきらないうちにさっそく彼の手が伸びてきた。

「うあー、小宮山に触んの久しぶり・・!」

加瀬くん、今日はとってもお疲れなのである。

春休みが明けても、加瀬くんはとにかく忙しかった。
思ってた以上に全然会えないし話せない。

寂しくなった私たちは、ひとつ、約束をした。
どっちかがガマンできなくなった時は、なによりも最優先でふたりきりの時間を作ろう、って。んで、元気なほうがそうじゃないほうをたっぷり甘やかすのだ。