「・・意外とがんばるんだね?」
「どーゆうイミ!?」

そういえば小宮山とは進路のハナシをほとんどしたことがない。
「なあ、私立文系で希望出してるんだよな?」
って聞いたら小宮山が妙な間をあけて黙る。

「最初はそれで出してたんだけどさ。国公立文系クラスに変えてもらえないか藤代先生に頼んでる」
「え! わざわざ!?」
驚くオレを、ムッと顔をしかめた小宮山がじろりと睨む。
「今、ムボーだって思ったよね!?」
「思ってねーよ。オマエの成績知らねえもん」
「ムリめなのはわかってんだけどね、それでもいいの」
って、ちょっと恥ずかしそうに頬を染める小宮山。

「ふーん。で、どこ受けんの?」
「まだハッキリ決めてない。加瀬くんは? どっか国立大受けるんでしょ?」
「オレはA大か、B大の工学部・・」って言っててやっと気がついた。オレらの未来がバラバラになりそうなことに。

小宮山が私立に行くなら、近くに住める可能性は十分ある。
けれど国公立大志望で、しかも本人がムボーって言うからには偏差値高めのA大、B大はまず圏外。