春休み初日からずっと、オレは坂川の小野製作所にカンヅメになっている。
この春はロボコン一色でバイトもできない。
小宮山にだってちっとも会えてない。

3時頃、休憩で外に出たついでに小宮山にLINEしてみた。
なにしてるかなって思って。

『今、外にいるよ』
『どこ?』
『松ヶ浦』
『今から会えない?』って送ったら、『いいよ』って返ってくる。

ーーーオレ、今日はもう帰ろう。

坂川駅で合流した小宮山は、やけに大きなバッグを抱えていた。
「なにそれ? なんの荷物?」
って聞いたら、小宮山がちょっとテレくさそうに「勉強道具」って言う。
「勉強??」
「ウン。受験勉強しようかなって思って」

小宮山の言葉に衝撃を受けて、オレはチョットだけ固まった。
「受験勉強!?」
もちろんやってるヤツはとっくにやってんだろうけど、小宮山にはそーゆうイメージが全くない。
いや、なかったのだ。今までは。