「さ、さっきまで彼女が来てたからな」
「兄ちゃん、彼女いたの!??」
「おう」
「えーーーーー!!」
圭太が派手に目を剥いた。
「知らなかった! カワイイ?? どんな人!? 写真みして!」

期待に顔を輝かせて飛び跳ねるようにして部屋に入ってきた圭太は、ベッドに腰かけた途端にまた「アレ?」って首をかしげて動きを止めた。
と思ったら、身体をひねって自分が座ってるベッドのニオイをクンクン嗅ぎはじめる。
「バ、バカ、やめろ!」
オレとソックリな色白の弟がさーっと赤面してく。
「兄ちゃん、もしかしてーーー」
「黙れ。ウルサイ!!」

すぐにつまみだしてドアを閉めた。

ああくそ、もうバレた。最悪だ。
親にチクられないように後でクギをさしておこう。

隣の部屋のドアがバタンと閉まるのを確認してから、圭太がしてたみたいにベッドのニオイを嗅いでみる。

なるほどね。
これは小宮山のシャンプーの匂い。