本当は。
加瀬くんはいっくらでも私のこと、好きにできる。
だって手を伸ばせばイッパツで勝負がつくところ、イロイロ知ってるんだから。
だけど加瀬くんは、それをやんない。

「オネガイ」
「オネガイ」
「オネガイ」

鼻先で、頬で、唇で。
必死に甘える。

「なあ、ウンて言ってよ」

こんなの、拒めるわけがないじゃないか。
私はとうとうイヤって言えなくなった。

「・・わかった、いいよ。もっかいドーゾ」
「ヤッタ!! ありがと!」

今度こそ唇に落ちてきたキスに、私はそおっと目を閉じた。
私は加瀬くんが好きで好きでしょうがない。

***