「約束したよな、練習するって! 小宮山、余裕でうんうん言ってたもんね。アレ覚えてる?」
小宮山が頷くけど、緊張感漂いまくる顔には表情が全くナイ。
「で、でも・・でもさ、私、ホントに明るいトコじゃムリ・・!」

半泣きの小宮山の肩に手を置いて、オレはひとつ、彼女に提案をしてみたのだ。

「じゃあさ、こうしよ? 水曜が晴れならやめる。オマエ明るいの嫌だろ?」
「うん」
こくりと頷く小宮山にオレも静かに頷いてみせた。
「晴れなら諦める。でも曇りか雨なら決行。だって晴れよりマシだろ? な? そーしない?」
「マシ・・??」
オレのコトバを反芻しながら小宮山が必死に何か考える。
「薄暗いぞ? 晴れの日より全然」
「で、でもマックラじゃないと・・」
「あのねえ・・」
往生際の悪い小宮山にキチンと現実を説いてやる。
「マックラはムリなの! 夜は家族がいるだろ? 親に声聞かれたい?」
「ままま、まさか。冗談でしょ!?」

「ならちょっとは小宮山も譲れよ。オマエ、ムチャクチャ晴れてる明るい日と、薄暗ーい日と、どっちがいい??」
「・・薄暗ーい日」
「だろ? じゃ、決まりね。曇ったらオレんち。でも晴れたらナシ。それでいい?」
「ーーーわかった。じゃあそうする・・」

「!!!」

やった、ついに2回目にこぎつけた!
小宮山が承諾のコトバを口にした!
心のなかでガッツポーズを繰り返す。