ところがチャンスはいきなりやってきた。
2月に入ってすぐのことだった。

藤代がホームルームで明後日水曜の午後休校について話し始めたのだ。
それを聞いて思わず、ハッと背筋が伸びた。
小宮山の席をスゴイ勢いで振り返ると、それに気づいた小宮山が覇気のない曖昧な笑顔をオレに向けてくる。
なに、あの顔。

今回の休校は随分前から告知してあったらしいけど、オレは全然知らなかった。たぶん小宮山も。

突然降って湧いた幸運にオレは震えた。
ホームルームが終わるとすぐに小宮山をつかまえて廊下に連れ出す。

「水曜、オレんち来れる?」
「加瀬くん、ロボコン部は?」
「ねーよ。部活が全部休みなのにロボコンだけあるワケねーだろ。あったとしても休む」
「そ、そう・・」

小宮山の顔色が悪い。