うっかり色々思い出しちゃったせいか背中がぞくりと震えて、オレは慌ててポッキーを一口かじった。胸に広がりかけた熱を冷ますために。
そしたら尚がすんげえ嫌そうな顔してオレの手元を指差すのだ。

「律、それやめろって。ピンクの!」
ああ、これね。イチゴのね。
「いーじゃん。菓子くらい何食ったって」
「おまえは女子か! 似合わねえ!」
「フン。ウルサイ」
わざとポキっていい音たてて食ってやる。

「なあ、ロボット進んでる?」
「結構進んでるけど、腕がダメ。いつまでたってもボールすくえねんだよなー、アイツ」

顧問小野の兄貴が経営している坂川の大きな製作所のスペースと機械を借してもらえるおかげで、ロボット製作はかなり順調に進んでいた。
年明けからはたぶん、もっと忙しくなる。

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