「なんで機嫌悪いの?」
「はあああ!? なんでってオマエ・・逆になんで!?」

今度は加瀬くんが絶句した。

「20分だぞ!? 20しかなかったよね、さっき!」
「ああ、ウン・・そーだっけかな・・」
「そーだわ! 20分!!」
加瀬くんがシツコク20分を強調する。
「20分でなんとかしなきゃいけなくなったオレの気持ち、オマエにわかる!? オレだって初めてよ?」

なんだかすんごく鼻息荒く怒りをあらわにしてる加瀬くんに恐る恐る聞いてみたのだ。それってそんなにマズイこと?って。
そしたらーーー

「マズイに決まってんだろが!! あのまま終わんなかったらオレ、泣いてたからな! 少しはオトコのプレッシャーをわかれ!!」
「・・・・ゴメン、よくわかんない」
「くっそおお」
加瀬くんが悔しそうに夜空を仰いだ。
「オマエがムダにギャーギャー騒ぐから全っ然進まなかったんだろ!?」
「そ、そっか・・ゴメンネ」

それを言われると何も言えなかった。
たしかに私はアレコレ騒いで散々ワガママを言ったのだ。
恥ずかしすぎて。

ずーっと私のペースに合わせてくれてた加瀬くんも途中でついにブチ切れた。あそこがおそらく加瀬くんの言う『残り20分』の時点だったのだろう。
そこからは後は、加瀬くんの独壇場。問答無用でおさえこまれて、あっという間に私のゼンブをもってかれた・・ように記憶している。