飲み屋の多い飲食店街は、昼間はシャッターをおろしてるお店が多く閑散としていて夜の賑やかさはない。立ち並ぶお店の間を加瀬くんが迷いなく歩いてく。

だけど、なんかヘンだ。

歩くにつれ、ちょっとずつ違和感が増していく。
さっきからなんとなく、街の雰囲気がイカガワシクなってきているような・・

「ねえ、どこいくの？」
「この先にあるお店」

「なんのお店？」
「・・・」

黙り込んでさりげなく目を逸らそうとする加瀬くんの顔を追いかけて覗き込む。

「ねえ、何のお店？」
「えーっと・・シュクハクシセツ・・？」
「シュクハクシセツ？？　なんで？？」

「ナンデカナ・・」

さすがに足が止まる。
だってもうこの先の方にそれらしい看板がいくつも見えてきてるから。