ーーーマズイ。
舌戦に持ち込む気満々だ。
このまま加瀬くんとやりあったって、まず私に勝ち目はない。
こういう場合はのらりくらりとはぐらかすのが一番効果的だということを、私は経験から学んでいた。
「じゃ、じゃあまず心の準備をさせてよ。それが終わったら返事できるから」
「ホント!? ならさ、チョットだけなら待つケドさ・・」
「うんうん。アリガト。じゃあ準備が終わったら言うね?」
・・って言っとく。とりあえず。
んで、後はひっぱれるだけひっぱろうって思ってたんだけど。
ポケットの中でつないでた手を、加瀬くんがぎゅうっと握りしめた。
「い、いてて・・」
「オマエ、適当にはぐらかしながらひっぱりまくるつもりだろ」
「!!!」
加瀬くんが気づかないわけなかった。
「フン、逃げられると思うなよ。絶対、前倒しさせてやる! んじゃオマケして期限年内でカンベンしてやるよ」
「オマケって・・5日しか変わんないじゃん!」
「6日だろ」
すでにクリスマスなんか関係なくなってる。
「ヤだ! できない!」
「できる!」
結局、ギャーギャー言いながら並木道の下をただ歩いて往復しただけ。イルミネーションなんかほとんど見てない。
加瀬くんの印象ばかりが残る夜となった。
***
舌戦に持ち込む気満々だ。
このまま加瀬くんとやりあったって、まず私に勝ち目はない。
こういう場合はのらりくらりとはぐらかすのが一番効果的だということを、私は経験から学んでいた。
「じゃ、じゃあまず心の準備をさせてよ。それが終わったら返事できるから」
「ホント!? ならさ、チョットだけなら待つケドさ・・」
「うんうん。アリガト。じゃあ準備が終わったら言うね?」
・・って言っとく。とりあえず。
んで、後はひっぱれるだけひっぱろうって思ってたんだけど。
ポケットの中でつないでた手を、加瀬くんがぎゅうっと握りしめた。
「い、いてて・・」
「オマエ、適当にはぐらかしながらひっぱりまくるつもりだろ」
「!!!」
加瀬くんが気づかないわけなかった。
「フン、逃げられると思うなよ。絶対、前倒しさせてやる! んじゃオマケして期限年内でカンベンしてやるよ」
「オマケって・・5日しか変わんないじゃん!」
「6日だろ」
すでにクリスマスなんか関係なくなってる。
「ヤだ! できない!」
「できる!」
結局、ギャーギャー言いながら並木道の下をただ歩いて往復しただけ。イルミネーションなんかほとんど見てない。
加瀬くんの印象ばかりが残る夜となった。
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