「実はね、アリバイ作りをお兄ちゃんに頼んでみたんだけど・・」
「へー。小宮山、兄ちゃんいるの?」
「うん。今、大学1年」

「うちのお母さん、泊まりで遊びに行くと絶対電話してきて友達に挨拶すんだよね。だから身内に頼むのが確実かなって」
しかもうちの兄はロボコンが開催されるA県にいる。
「ヤッタ! じゃあ小宮山のほうはソレでクリアね?」
って加瀬くんが顔を輝かせるんだけど、そーじゃない。
全然クリアなんかしてない。

「ええっと、それがさあ・・」

兄に協力をお願いしたら、一応引き受けてはもらえた。
が、面倒な条件がついたのだ。

「エ!? 兄ちゃんが来る!? ロボコン見に??」
「ロボコンっていうか・・加瀬くんを見に」
「オレ!? なんで?」

それはーーー

『まずすみれの彼氏がどんなヤツか確かめて、協力するかどーかはその後で決める』
『ええっ、なんで!?』
『ヘンなヤツだったら泊まりなんか許可できねーよ。そいつ見て、オレがダメって思ったら泊まりはナシだからな。そん時はオレんとこ泊まれ。それがイヤなら引き受けない』
『そんなあ・・』
・・ってコトだったのだ。

加瀬くんがザッと青ざめた。
「じゃ、じゃあオレ、小宮山の兄ちゃんの査定受けるの!?」
「ゴメン。ヤだよね・・」

当たり前だ。
イヤに決まってる。

「やっぱり他の方法考える。それかいっそ泊まりをやめちゃえば・・」
って言ったら加瀬くんがそれはイヤだって言う。
「オレ、オマエと一緒に朝迎えてみたい」
「ウ、ウン・・」